拓海を育てた伝説の走り屋!!『頭文字D』人物列伝01【藤原文太 編】

■無表情で華麗な技を繰り出す技術

 拓海や秋名スピードスターズの面々がバイトするガソリンスタンドの店長である立花祐一とは古くからの友人で、たまに夜のドライブに誘い出すくらいの仲。この日も、文太は「ドライブ行かねーか今から」とフランクに誘い出す。「無茶しない」、「ドリフトなし」と約束したうえで、店長(立花祐一)もしぶしぶ助手席に身体をしずめることになる。

 実際に走り出すと、自然と話題は息子・拓海の成長話へ。文太曰く、前から上手かった運転が、ひとつカベを超えて速い走りをするようになったとのこと。

 店長から拓海にドラテクの英才教育を施す理由を聞かれると、「べつにねらいなんてねーんだよ。拓海が少しずつうまくなっていくのがおもしろいだけさ」と、本音を語っている。

 その後、足まわりのチェックをするためと理由をつけると、文太の操るハチロクは驚愕のスピードでコーナーへ侵入し、華麗なドリフトを見せつける! さらに、このドリフトの真っ最中に文太は、あろうことか両手をハンドルから話してタバコを吸うという人間離れした技を見せている(なお、理由は「ちょっとタバコすいたくなった」というもの)。

 無表情でドリフトを完成させる姿もかっこいいが、やはり常人では真似できない神業テクニックには読んでるこっちもノックアウトされる。そして、この走る姿勢の余裕さが、いつも集中して走る拓海の乗り方と対比されることで、文太の天才性がはっきりと浮き上がってくるのである。

 峠を走っていた頃、何かに到達できず、何にもなれなかった多くの走り屋たちに代わって、文太は中年になってからもカーライフを満喫している。父子家庭ながらピュアでみずみずしく育った息子と戯れたり、愛車でドリフトしている。実は家族愛に溢れ、戻りたくても戻れないあの頃に連れて行ってくれるこの男に、だから我々は憧れる。

■1話丸ごと掲載(Vol.38「さりげなく 文太の底力!!」)

■掲載巻と最新刊情報

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