伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ次世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、13巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数320万部を突破した。
同作品に登場したクルマたちの世界観と魅力を読み解いていく本連載。第7回となる今回は、MFG第2戦で初登場し、その後も夏向と86の良きライバルとなっていく、ライトウェイトスポーツモデル、アルピーヌA110を取り上げたい。
文/安藤修也
マンガ/しげの秀一
■現代に蘇ったラリーの雄
2017年にこのA110がルノーから発売された時、世界中のカーガイ(クルマ好き)たちが一斉に注目した。それはかつてフランスに存在した「アルピーヌ」と呼ばれるメーカーが1960~1970年代に販売していたモデルで、ラリーシーンでも活躍した名車中の名車であったからだ。
オリジナルは1977年に生産終了となったが、アルピーヌを傘下としたルノーが、現代の技術を注ぎ込んで2017年に復活させたのが、現代のアルピーヌ A110である。
デザインはオリジナルのアルピーヌをモチーフにしており、現代風にまとめられた。4灯ヘッドライトからサイドを通ってリアへと絞り込まれていくボディライン、尻下がりのフォルムなど、その再現度は非常に高いが、オリジナルと並べると全体的なバランスは変わってくる。
現代的な太いタイヤを履くため、フェンダーは大きく張り出し、全体的にはワイドで塊感がある。そこには約60年もの時間の隔たりと技術の進歩があるからだ。
オリジナルモデルがRR(リアエンジン・リア駆動)だったのに対し、現行型のエンジンは車体中央にミッドシップマウントされている。ただでさえ軽い1110kgの車体は、高い旋回性を備えており、ステアリングを切ればリニアにクルマの向きを変えることができる。エンジンフィールもハンドリングも最高に気持ちいいモデルに仕上がっている。
なお、トランスミッションはATのみだが、MTの設定がないのは現代のスタイル。フェラーリやランボルギーニも同じである。