夏向を新たに支える名エンジニアは藤原拓海のかつてのライバル!! 『MFゴースト』を彩る人物列伝07 奥山広也 編


 伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ新世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、13巻発売時点で、単行本累計発行部数320万部を突破している。

 当連載では、同作品内で繰り広げられる『MFG』で活躍するドライバーや、主人公・片桐夏向の周囲を取り巻く人々など、魅力あふれる登場人物たちの人となりを分析し、そのキャラクターや人物像を明らかにしていく。

 今回は、ラウンド2の「芦ノ湖GT」以降、夏向をサポートするようになる名エンジニアの奥山広也を取り上げる。かつて藤原拓海とバトルを繰り広げた男がみせる、神奈川のプライドをかけた技術力とは?

文/安藤修也
マンガ/しげの秀一

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■かつての拓海のライバルが再登場!

 初戦の小田原パイクスピークを終えて、夏向のドライビングテクニックに対して86の戦闘力に物足りなさを感じていた緒方は、相葉瞬から優秀なエンジニアを紹介してもらうことになる。それが、オートショップ『スパイラルゼロ』を経営する奥山広也だった。

 この「奥山広也」という名前を聞いて、ピンときた人はかなりの『頭文字D』通に違いない。そう、プロジェクトDによる神奈川遠征第3戦の相手となった「チーム・スパイラル」のナンバーツーで「ゼロワン」と呼ばれ、S15シルビアを駆っていた男である。

 バトルでは、拓海のハチロクに対して「ハナからドラテクを競うつもりなんかない」と、クルマのポテンシャルで相手を捩じ伏せようという狙いであったが、濃霧によるコンディション不良のコースで先行するハチロクにぶっちぎられ、「人生観が変わるほどの」衝撃を受けている。

 『頭文字D』当時の青年時代の奥山は、目が隠れるほど前髪を伸ばし、ネックレスをつけた少しチャラい雰囲気の男だったが、よほどこのバトルの敗北が影響したのだろうか(?)、『MFゴースト』では、かなり落ち着いた雰囲気で登場。髪は短髪で、経営者らしくジャケットを羽織り、額にシワの目立つダンディな中年風の姿になっている。

■「足の魔術師」が選んだのはライトチューン

 緒方から相談を受けた、86のアップデートについては、まず「エンジンのパワーアップは後回しにする」旨を緒方に告げた。 長年チューニング畑で腕を磨いてきた奥山は、「足の魔術師」とも呼ばれている。「クルマは足だけで速くなる」を信条としており、まずはサスペンション、ブレーキ、吸排気系のみに手を入れて86の仕上がりをみることにしたようである。

 具体的には、タイヤを使いきったところからさらに粘るようなストロークのしなやかさを重視したサスペンションを作り上げ、ブレーキは6ポッドを用いて制動力と耐久性を向上させることで、レース終盤でのタッチの劣化を最小限に抑えようとした。

 ターンパイクを試走した夏向は、この86を以前より確実にパワフルになったと感じ、メカニカルグリップの向上、ショックアブソーバーの絶妙な動き、剛性感があってレーシングカーに近いタッチのブレーキに仕上がっていると評価した。

 実際、これらのチューニングはMFGの本質をついており、ラウンド2「芦ノ湖GT」の予選では暫定ながら8位を獲得するスーパーラップを披露して、関係者とファンを驚愕させている(予選の最終結果は10位)。

 この「芦ノ湖スペシャル」ともいうべき奥山のサスペンションセッティングだが、この時すでに次戦以降の「真鶴スペシャル」、「ダブルレーンスペシャル」、「熱海スペシャル」も奥山の頭のなかに確固たるビジョンが出来上がっていたというから頼もしい。コースごとに異なる特徴を持つMFGでは、サスペンションに求められるものも大きいのだ。

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