■中里毅が残した功績
まとまり感のあるデザイン、几帳面ささえ感じられる精密なメカニズム。R32型スカイラインGT-Rといえば、実力、性能ともに当時の国産ナンバーワンモデルであり、日産党のみならず、あらゆるクルマ好きが憧れた世界に名だたる名車であった。誤解を恐れずに言うが、この名車を愛車とした時点で、中里毅が負けキャラであることは決まっていた。
「FRでドリフトする時代は終わった」「ドリフトを卒業した走り屋がグリップで走るのが一番速い」など、中里にはFRを揶揄する発言が多かったが、4WDという強敵をブッ飛ばすFRの姿に、読者はワクワクさせられたのである。主人公の愛車がハチロクというFRを代表するモデルである以上、そのカウンターカルチャーである4WDを駆る中里毅は、敗者にならざるを得なかったのだ。
中里毅というキャラクターの存在が、R32GT-Rの評価に影響したかと言えば、現在まで続く連綿と続くGT-R人気を見るかぎり、GT-Rファンに対してそれほど悪い影響を与えたとは思えない。
一方で、衝撃的なFR車の活躍を演出したことで、当時から流行っていたドリフト人気に拍車をかけ、ドリフトブームを作り上げたこと、そしてさまざまなFR車を峠シーンに溢れさせたことは間違いない。これらは彼の功績でもある。
■1話丸ごと掲載(Vol.69「驚異のハイテク戦闘機を追え!!」)
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