拓海が負けたランエボ使い!!『頭文字D』人物列伝06【須藤京一 編】


■一見の価値あるバトルとキャラクター

 “4WDの番人”として主人公の前に立ちはだかった須藤の手により、主人公が完膚なきまでに叩きのめされたこのバトルは、全編にわたってソリッドな手触りを残す。

 一度追い抜かれた後は、追いつくことさえできないハチロク。そして最後の最後にハチロクのエンジンが「グシャッ」とブローするなど、バトルのクライマックスはたたみかけるようなシーンの連続で、読んでいるこちらも呆然とさせられる。

 しっかりとした思想とスピリットを持つ須藤は、基本に忠実でミスをせず、相手の弱点を突いてくる。「合理性だけが彼の美学」(高橋涼介談)と言われ、「4WDのクルマ以外には関心を示さない」彼が、その4WDの走行性能をフルフォースで叩きつけてきたのだから、ハチロクにとってはたまらなかった。

 なお、のちにエンペラーのホームであるいろは坂で再戦してハチロクにリベンジされると、須藤もハチロク=FRの良さも認めることになるのだが。

 そして、なにより須藤京一というキャラクターが画期的だったのは、それまで『頭文字D』ではほとんどのバトルがスポーツカー同士というテンプレートにおいて成り立っていたのに対し、ランエボのような4WDセダンを突如持ち込んだこと。

 そして、重くて遅いイメージだったセダンによって、スポーツカーの拠り所である「走りの良さ」や「速さ」が塗り替えられてしまうという恐怖を、読者に抱かせることに成功した点にある。

 実際、重厚で深い歴史を持つ4WDセダンが一定の支持を得て、その後も独自のスタンスで進化していったのは言うまでもない。

■1話丸ごと掲載(Vol.103「さえわたる京一のテクニック」)

■掲載巻と最新刊情報

【画像ギャラリー】須藤京一の愛車ランサーエボリューションIIIを見る