■名高いブレーキ能力を駆使して勝負!
しかしその機会はすぐにやってくる。急発生した濃霧のなかでテイラーが苦戦しているなか、まるで視界のなさを恐れていないかのような圧倒的スピードで、片桐夏向のトヨタ 86が911カレラを追い抜いていく。「パードゥン!!」、「ウワオッ」などと、思わず母国語が出てしまうテイラーだったが、すぐに再戦の機会は訪れた。
最終週、最後のホームストレートで86を追い詰めた911カレラ。馬力もトップスピードも圧倒的に分があることで、スリップストリームにつくこともなく並びかけて追い抜いた! しかし、すぐに86は911カレラの背後に入り込み、逆にスリップストリームを活用すると、ストレート終わりのブレーキングで勝負をかける。
世界一と名高いポルシェのブレーキだが、この時すでにテイラーはタイヤを使い切ってしまっていた。結果、このブレーキ勝負一回分のグリップを残していた86に負けてしまうことになる。ラウンド1の最終順位は10位。前年ランキングより下回る、悔しい開幕戦となった。
ラウンド2「芦ノ湖GT」では予選7位と好順位を獲得し、さらに雨中のレースでRRのポルシェは強いトラクションを活かして活躍すると思いきや、またもや86に追い抜かれてしまい、8位フィニッシュ。ラウンド3「ザ・ペニンシュラ真鶴」では予選14位、アルファロメオやロータスの後塵を拝してしまい、そのままバトルシーンが描かれることもないまま、14位でフィニッシュしている。
MFGという同カテゴリーのレースで、911カレラ、911GT3、718ケイマンとポルシェだけが3台も登場している。ドライバーのポテンシャル差もあってか、現在は他の2車に勝る展開を見せられていない911カレラだが、ポルシェファンの心境としては、恐ろしいほどバランスの取れた伝統のスタイリングをもっと見たいというのが本音だろう。
■掲載巻と最新刊情報
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