トヨタMR2の魅力を深掘り!『頭文字D』で敗北のミッドシップマシンの実力とは?

■「諸刃の剣」が及ぼした影響

 強引ながらも見入ってしまうショットが満載されているこのバトル。特にラストの橋区間のシークエンスには、結果がわかっていても引き込まれていってしまう。ミッドシップの優位点がしっかりとバトルの展開に活かされ、MR2というクルマの特性が「諸刃の剣」であるという、オリジナルの世界観もしっかり取り入れられている。

 しかし、このような名車が必ずしも売れるかといえば、そうではない。当時、MR2に燃えるような恋をした人が多数いたのも事実だが、2シーターという非日常的な側面も持っているMR2は、販売的には成功しなかった。

 その後、MR2は、MR-Sというロマンシチズム溢れるオープンカーにリブートされる。なぜそうなってしまったのかはわからないが、純なスポーツカーファンたちの気持ちを萎えさせた(もちろんMR-Sもいいクルマには違いないが)。

 カーマニアなら誰にでも憧れのクルマというものが存在し、いつか追体験したいと思っていることだろう。「ミッドシップに乗ってみたい」ユーザーたちによって、MR2の存在感は今も高められている。

 しかし、その走りの特性もあって、クラッシュなどで失われてしまった車両も多く、2021年現在、中古車市場にMR2はそれほど多く出回っていない。若い人にとっては、知っているけど見たことのないクルマの筆頭に上がるかもしれない。

「ミッドシップ」というパワーワードに加えて、このどこか退廃的な世界観もMR2の魅力のひとつとなっている。

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