■最強キャラが本気を出す時
日本での住居は、東京の赤坂。高級マンションの一室に姉と住んでいるようだ。姉は”ゴリゴリのドイツギャル”(← 作中より)で、名前はアグネス、22歳。登場シーンが、常に室内でソファに座っているからなのか、いつも気だるい雰囲気で、薄着なため艶っぽさを醸し出している。
彼女はミハイルのことを、「中二病」、「自信過剰で自己中でコミュ力ゼロで情緒不安定」と評しているが、毎回レース後の表彰台セレモニーに顔を出さないあたりは、この評価が的を射ていることを表わすエピソードである。
登場初期から「頭の中のギアが5速あるとすれば……MFGに来てから、まだ一度も5速を使っていない……4速だけで十分にトップタイムをねらえてしまう……」などと高慢な発言を連発しており、今シーズンでチャンピオンを獲ったら帰国しようと考えているようだ。実力と結果が伴っているので誰も文句は言えないが、たしかに中二病っぽさが感じられなくもない。
だが、最強キャラクターといえども思いどおりにいかないのがこの作品の面白いところ。彼がトップギアを入れる機会は早々にやってくる。
ラウンド2「芦ノ湖GT」では沢渡光輝が登場し、予選でコースレコードを叩き出す。ミハイルも負けずにコースレコードでポールポジションを獲得すると、雨の決勝レースでは3位以下を突き放し、2台で一騎打ちを繰り広げた。
沢渡に対し一時的に前を譲ったが(ここでミハイルは初めて曇った表情を見せた)、「ボクを一瞬でも本気にさせたことは評価してやる」と霧中走行で疲労した沢渡を見事に交わして優勝している。
ラウンド3「ザ・ペニンシェラ真鶴」でもミハイルがポールポジション獲得すると、決勝レース終盤には、沢渡に夏向を加えてトリプルバトルが勃発。さすがのミハイルも一時的に焦りを見せたが、「平静をとりもどせ……呼吸を整えて……上がりかけた心拍数を下げろ……」とマインドコントロールして走りを立て直し、見事優勝を果たした。
ここまで全勝しているものの、付け入るスキを与えないサイボーグのようなこの男に、果たして付け入るスキは見られるのか。ラウンド4以降の展開が楽しみである!
■掲載巻と最新刊情報
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