レースではドライバーより一喜一憂も…… 夏向を全力で支える女房役! 『MFゴースト』を彩る人物列伝02 緒方 編


 伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ新世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、13巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数320万部を突破している。

 当連載では、同作品内で繰り広げられる『MFG』で活躍するドライバーや、主人公・片桐夏向の周囲を取り巻く人々など、魅力あふれる登場人物たちの人となりを分析し、そのキャラクターや人物像を明らかにしていく。

 第2回目となる今回は、夏向を支えるスタッフでありながら、86の所有者でもある緒方を取り上げる。初回から登場し続ける彼の整備士としての腕、性格などを解説していこう。

文/安藤修也
マンガ/しげの秀一

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■片桐夏向を支える自動車整備士

 主人公をサポートするサブキャラクターでありながら、連載開始から4年以上が経過しても今だにフルネーム不詳という変わった人物設定。ただし下の名前がわからない以外、その人となりについては、登場回数の多さも相まって、読者からかなり知られている知名度の高いキャラだ。

 緒方は、20代にして自動車の町工場「緒方自動車」を経営する整備士。これまでにほかの社員らしき人物が登場していないので、ひとりで経営する零細企業と思われる。そして、第1戦で夏向が賞金800万円を獲得するかもしれないとなった時に、「半分の400万円でも緒方自動車の一年分の売り上げをかるく超える」こと、そして借金があることなども告白している。

 初登場したのは、第一話「英国からのチャレンジャー」の後半、主人公の片桐夏向が緒方のガレージを訪ねるシーン。サイドを刈り上げたショートヘアで、髪色も染めているようだが、無精ヒゲも目立つ。物語の進行とともに顔が丸くなっていくため、中年オヤジのようにも見えるが、24歳の相葉瞬のことを「昔の走り仲間」と言っていることから、相葉と同年代だと考えられる。なお、残念ながら「女がらみの思い出はひとつもない」そうだ。

■EV主流の時代にあってガソリン車を愛する

 愛車はトヨタ 86の初代モデル。ボディカラーは赤で、緒方自身「時代遅れのスリーペダル」と言う5速MT仕様。かつて170万円の中古車として購入したが、3年前にこの86でMFGに参戦した際に予選通過タイムの30秒遅れだったことから、ドライバーとしての成功を諦めている。

 ただ、クルマに対する嗜好としては、「根っから好きなんだよな。ガソリンで走るクルマが……。EVなんてクソだよ」と発言していることからも、生粋のカーマニアであることがよくわかる。

 もともと知人だった西園寺家から頼まれたことで、主人公・片桐夏向と知り合い、彼のMFG参戦のサポートをすることになる。西園寺家の娘、恋(れん)のことを子どもの頃から知っているということで10年以上前からの知り合いのようだが、参加エントリー、そしてマシンの貸与まで引き受けている。

 ちなみにこの86のエントリー時、40番以降のゼッケンはフリーで早い者勝ちだったため、「86」番を運よくゲットできたそうだ。

 本業は整備士だけに、各ラウンドの前後には86のメンテナンスを担当し、MFGの予選、および決勝レースでは、セコンドブースに入って無線で情報を伝達するなど、レースにおけるチームスタッフ業務をこなしている。第1戦終了後には夏向から、「あなたはすばらしいメカニックです。クルマは最後までボクの期待をうらぎることはなかったです」と高く評価された。

 実際のところメカニックとしての腕はどうかといえば、まだ一流とは言えない部分があるのだが、第1戦終了後に相葉瞬の紹介で「オートショップ・スパイラルゼロ」の腕利きメカニック奥山広也と出会うと、そこから学びを得て、さらに86のよさを引き出そうとする。この貪欲さや、クルマに対する真摯な姿勢、「夏向のためにも」という思いの深さには心打たれるものがある。

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