■奮闘するもいいところを見せられないM6
作中では、MFGラウンド1「小田原パイクスピーク」の予選結果が表示される場面で、初めて「BMW」の文字が出てくる。ドライバーは柳田拓也(27歳)、予選結果は6位と好順位につけているが、車名はこの時点では明かされていない。さらにスタート後の混戦状況でリアスタイルのみ見せているが、この時点でM6だとわかったらBMW通かもしれない。
その後フロントサイドを晒しつつ(カーナンバー6であることもわかる)、初めてしっかりその姿を現したのは、第32話「動きはじめるレース」だ。後方から強引な追い抜きをかけてきたフェラーリ488GTBに対して、柳田は「幅広の図体でせまいスペースにねじこみやがって……」と苦言を呈しながらも抵抗するが、6位の座を奪われてしまう。
さらにレース終盤、もう一度姿を見せたと思いきや、今度はランボルギーニ ウラカンに追い抜かれるシーンで、最終的に開幕戦は8位でチェッカーを受けることに。一度も他車を追い抜くようないいシーンを見せられず、BMWのフラッグシップクーペとしては、残念な結果となってしまう。
ラウンド2「芦ノ湖GT」では、アルピーヌA110が初参戦したり、シビックタイプRがNSXへと乗り換えられたりと、ライバルたちの刷新が図られるなか、11位グリッドからスタート。ウェットコンディションのなかFRで奮闘したが、4WDのGTRにオーバテイクされる。
さらに、前方のAMG GTを抜くことができず、停滞している間に後方からきた軽量で身のこなしの軽いアルファロメオ 4Cに抜かれてしまう。最終的には、荒れたレース展開で、ランボルギーニ ウラカンやポルシェ911 GT3がスピンしたため、スタートと同じ11位でフィニッシュした。
■M4でコーナリングの魔術師が復活!
ラウンド1、2と非力で小型なクルマが実力を発揮したレース展開を受けて、柳田もある決断をする。それは、M6からM4へと搭乗モデルを変更することであった。トヨタ 86やアルピーヌ A110などの活躍を見て、素早く決断したわけだが、結果的にはこの決断は吉と出る。
「MFGの黎明期!! コーナーの魔術師といえば、柳田拓也の代名詞でした……!!」とアナウンサーが思わず叫んだとおりの胸のすくような走りを魅せて、ラウンド3「ザ・ペニンシュラ」の予選では、M4が7位を獲得。見事、ひと桁台からのスタートに返り咲いた。
決勝レースでは、ドライバーの怪我で不調のトヨタ 86と抜きつ抜かれつのデッドヒートを演じたが、「ザ・ペニンシュラ」の名物コーナー「オー・ルージュ」で諸星瀬名のトヨタ スープラにオーバーテイクされ、さらにゾーンに入ったトヨタ 86にも前を行かれてしまう。最終的にはひとつ順位を下げて8位でフィニッシュ。次戦への期待を持たせる結果となった。
今さらながら解説すると、車名の「M」というのは、BMWにとってスポーツモデルの象徴で、かつてBMWがF1をはじめとするモータースポーツで実績を残した時代に存在した「BMW Mortorsport社」の系譜を受け継ぐ「BMW M社」が制作に携わったモデルのこと。つまりこれは、モータースポーツの「M」であり、各モデルにはBMWの歴史とスポーツスピリットが込められている。
公道レースのMFGであっても、常にベストなパフォーマンスをみせて勝たねばならないということ。柳田のさらなる奮闘が期待される。
■掲載巻と最新刊情報
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