伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ新世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、14巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数350万部を突破している。
当連載では、作品内で繰り広げられるガソリン車のレース『MFG』で活躍するドライバーや、主人公・片桐夏向の周囲を取り巻く人々など、魅力あふれる登場人物たちの人となりを分析し、そのキャラクターや人物像を明らかにしていく。
今回は、『MFゴースト』にとっては前作となる『頭文字D』の主人公、藤原拓海を取り上げる。「プロジェクトD」完遂後、拓海のとった行動とは、現在は何をしているのか、そして今後、作中に登場することはあるのだろうか。
文/安藤修也
マンガ/しげの秀一
■トヨタ86のドリブルにパンダトレノを見た男
『MFゴースト』を読み始めて、まず最初に目にする『頭文字D』の登場人物の名は、「リョウ・タカハシ」、つまり高橋涼介だ。そうなると主人公だった藤原拓海についても気になってしまうのがファン心理だが、正直なところ、現時点(単行本14巻発売時点)では、まだ藤原拓海は作中で姿を現していない。しかし、読み込んでみると、藤原拓海に関する話は散見される。
まず最初に名前が出てきたのは、第8話「衝撃のMFG新世代」。MFG本部長の上有(プロジェクトDの渉外担当だった上有史浩)が、参加ドライバーのなかに片桐夏向を発見し、慌てて高橋涼介へ電話する場面だ。「いたんだよ、例の…藤原の教え子が!!」と電話に向かって吠えている。かつてプロジェクトDで仲間だった上有が、いかにその存在を気にしていたかがわかるシーンである。
さらに上有は、ラウンド1「小田原パイクスピーク」予選での夏向の走りを見て、「すごいな…これは…さすがは伝説のダウンヒラーといわれた男の…教え子というだけのことはあるぜ…」と息を呑む。
また、ヘアピンカーブで夏向の86がドリフトをする様子を、「(拓海が運転する)白黒のパンダトレノとダブって見える」とも評している。AE86トレノとトヨタ86はまったくデザインの異なるクルマだが、彼の口からそういう言葉が出てくると、読んでいるこちらもそう見えてくるから不思議である。