『頭文字D』の名車は今でも買えるのか!?  藤原拓海のAE86編

『頭文字D』の名車は今でも買えるのか!?  藤原拓海のAE86編

 今年で半世紀を生きてきた筆者が中古車情報誌とチューニング雑誌をバイブルとして読んでいた高校生だった。

 その当時、カローラレビン/スプリンタートレノの駆動方式がFRからFFへ変わるということを同じクルマ好きの友人から聞いたときは衝撃だった。

 もちろん、まだ免許証も持っておらず、乗ったことがないので走りがどう変わるのかということはまったく知らないわけだが、自動車雑誌がその悲報を伝え続けたのを現在でも記憶している。

 最後のFR車となったカローラレビン/スプリンタートレノといえば、言わずと知れたAE86だ。

 1983年~1987年まで生産されたAE86のレビン/トレノは、フルモデルチェンジし、駆動方式がFFとなったAE92が販売されてからも、絶大な人気を誇り、AE86のみを行う中古車販売店がオープンするほどブームとなったのだ。

 AE86レビン/トレノが人気となったのは、ドリキンこと土屋圭市氏さんの愛車であったこと。そして、AE86レビン/トレノの人気を盤石のものとし、神格化させた漫画「頭文字D(イニシャルD)」の力によるものだろう。

 そこで本稿では、「頭文字Dに登場する伝説の名車は今でも中古車で手に入れることができるのか」を紹介。

 まずは主人公、藤原拓海の愛車AE86 スプリンタートレノだ。

文:萩原文博、写真:トヨタ

【画像ギャラリー】最新漫画「MFゴースト」主人公 カナタが駆る現代のトヨタ86


AE86が愛される3つの理由とは?

 仕事でよくご一緒する土屋圭市さんにAE86の魅力を聞いてみると「まずは後輪駆動車であること、車両重量が軽いこと。そしてアフターパーツが充実していること」と話してくれる。

 よく考えてみれば、AE86レビン/トレノは、1983年~1987年に生産された昭和のクルマで、もう生産終了から約33年も経過している。

 当然オリジナルコンディションの中古車などほとんどないし、そのようなクルマはとても手が出ない価格となるはずだ。そんなネオクラシックカーと呼べるAE86レビン/トレノが令和となっても生き残っているのは、アフターパーツが充実しているからに他ならない。

トヨタ2000GT(1967年~1970年)
トヨタ2000GT(1967年~1970年)

 最近はスープラや2000GTのオリジナルパーツが再販されて話題となったが、AE86レビン/トレノはチューニングショップからたくさんのパーツが販売されている。

復刻されたトヨタ2000GTのトランスミッションのパーツ(奥 : ギヤ/手前 : シンクロハブ・スリーブ)
復刻されたトヨタ2000GTのトランスミッションのパーツ(奥 : ギヤ/手前 : シンクロハブ・スリーブ)

 そのパーツも30年分の知恵とマテリアルの進化によって30年以上前のクルマをより壊れにくく、乗りやすくそして速くしてくれるのだ。

 一般的にスポーツカーの中古車はノーマル車を狙えというのが常識だ。それはチューニングカーが前オーナーの好みに仕立てられているため、自分にマッチするかどうかは未知数だからだ。

写真はAE86型カローラレビンの3ドア。ヘッドライトはトレノと異なる固定式
写真はAE86型カローラレビンの3ドア。ヘッドライトはトレノと異なる固定式

 しかし、AE86レビン/トレノの中古車はほとんどがチューニングカーとなっているため、どこのメーカーのどんなパーツが装着されているのかを確認するのが必要だ。

 自分が装着したいと考えているパーツならば、それはお得とポジティブに考えたい。そのように考えられないとAE86レビン/トレノの中古車にはなかなか手を出せない。

 AE92にモデルチェンジした後AE86の中古車の人気は圧倒的にレビンでしかも2ドア。そしてレビンの3ドアハッチバック、トレノの2ドアとなり最も人気がなかったのが3ドアハッチバックのトレノだった。

頭文字D主人公 藤原拓海の後ろにあるのが、AE86スプリンタートレノである
頭文字D主人公 藤原拓海の後ろにあるのが、AE86スプリンタートレノである

 しかし、その様相が一転したのが、頭文字Dの連載開始だ。主人公の愛車が白黒の3ドアトレノとなると、瞬く間に人気が急上昇。レビンとの人気が逆転してしまったのだ。

次ページは : AE86トレノの中古車市場はいかに?

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