藤原拓海の元僚友が最大の壁となる!?? 『MFゴースト』を彩る人物列伝12 高橋啓介 編

■MFG「デモ走行の怪」その正体は……

 作中では「プロジェクトDの進化系がMFG、公道最速理論の解答編」という高橋涼介の言葉が語られている。実際に、涼介がMFGのレギュレーションを作り上げたようだが、弟でありプロジェクトD中心メンバーだった啓介はMFGにどう絡んでいるのかといえば、ケンタとの会話のなかで、啓介自身「オレのデモ(模範)走行を~」と発言している。

 MFG公式サイトにアップされているデモ(模範)走行動画は、4年前、つまりMFG開催のタイミングで公開されたようだが、3年目の最終戦までそのタイムをやぶったドライバーがいなかったため、MFGフリークの間では「デモ(模範)走行の怪」と呼ばれていた……。それが誰のドライビングなのかは発表されておらず、車種も「今はもう街中で見かけることも無くなったクラシックカー」、「黄色いボディカラーの……なんとかセブン……」と謎が多かったためだ。

 しかし、「黄色のなんとかセブン」と聞けば、賢明な読者なら、すぐに高橋啓介のRX-7のことだと気づいたに違いない。つまり、MFGのスタートにあわせて啓介がコース選定やデモラン映像制作にドライバーとして参加していたという事実が判明し、同時に、年を重ねた今でも啓介の腕は鈍っておらず、一級品のままだということがわかる。ファン感涙のファクトである。

■弟子に受け継がれた公道最速理論と群馬プライド

 ラウンド2「芦ノ湖GT」の中盤では、夏向の走りを画面超しで眺めながら、いよいよ啓介が公道最速理論についても言及する。また、藤原拓海から片桐夏向へ継承された同理論に対して、「こっちもくり出すけどな……とっておきの一撃を」と、夏向に対抗措置をとることを口にする。

 そして、芦ノ湖GT終盤、啓介がオフィスから兄である涼介に電話する風景が見られる。ここで、「次からエントリーさせるぜ……」と、自身が育成したドライバー、諸星瀬名のMFG投入を宣言。つまりこの構図は、藤原拓海と高橋啓介の代理戦争である! ファン心理としては、もうこれだけで鼓動が高鳴るというもの。ちなみに、この後のケンタとの会話ではこっそり「(藤原は)ド天然」とも発言している(笑)。

 そして同電話中、「盆には高崎帰るよ」「ゆっくりメシでも食おうぜ……」などと世間話までしており、これまた高橋兄弟のファンにはたまらないシーンだろう。残念ながら姿を現しているのは啓介だけだが、早く涼介の顔も見たいものだ。

 ラウンド3「ザ・ペニンシュラ」に参戦した諸星瀬名は、いきなり大活躍をみせることになる(詳しくは『人物列伝08 諸星瀬名編』参照)のだが、予選走行時に瀬名はこう発言している。「オレのバックボーンは……群馬プライドだ」、「脈々と流れる公道最速のDNAは、ボス(高橋啓介)からオレへとうけつがれている」と。これは、拓海と啓介の代理戦争の火蓋が切って落とされたことを読者へ伝えるメッセージにもなっている。

 決勝レース中、瀬名が夏向にパスされると、啓介は「いきなり勝てるとは思っちゃいないよ」と余裕の表情。さらに、瀬名の強みは「モンスターじみた吸収力」なのだと。一度MFGを経験させた啓介の愛弟子が、次のラウンド4でどれほどの実力を見せるか期待が高まる瞬間だ。

 ただし、この意地悪な師匠は、夏向の欠点までは弟子に伝えていない。このやり方を聞いたケンタは、「どんどん涼介さんに似てくるな」と心の中で思ったのだが、このあたりもファン心理をくすぐるやりとりである。

■掲載巻と最新刊情報

【画像ギャラリー】その戦闘力はいまだ一線級!! 高橋啓介の愛車、マツダ RX-7(FD型)を写真で見る!(10枚)画像ギャラリー

シリーズ最新刊

MFゴースト9巻

MFゴースト9巻

コミックDAYSで試し読み コミックプラスで買う