1人の青年がクルマと出逢い、その魅力にとりつかれ、バトルを重ねながらドライバーとしても人間的にも成長していく姿を綴った『頭文字D』は、日本のみなならず、アジア各国でも賞賛を浴びた、クルママンガの金字塔である。
当企画は、同作において重要な役割を果たし、主人公・藤原拓海にさまざまな影響を与えたキャラクターにスポットを当てるというもので、ストーリー解説付き、ネタバレありで紹介していく。
今回は、主人公である藤原拓海とは直接対決しない人物で、しかも敵キャラでありながら、かなりのキャラクター濃度を誇る坊さんドライバー、池田竜次を紹介したい。
文/安藤修也、マンガ/しげの秀一
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■池田竜次はどんな人物?
ここまで12回、この連載が続いてきたなかで、今回の人選に「ん?」と思う方もいるかもしれない。しかし、クルマ好きでありながら大のマンガ好きでもある筆者としては、この人物は絶対に外せなかった。
まずルックスからして強烈だ。坊主頭(スキンヘッドではない)で、若干ほうれい線が目立つ。セリフもいちいち説得力があって、パワーワードが多い。穏やかでミステリアスで、とにかく不思議な魅力に溢れた愛されキャラなのだ。
立場としては、神奈川のチーム・スパイラル・ゼロを率いるリーダー。実家は寺であり、かなりの資金力があるとギャラリーには語られている。作中で高橋涼介のことを「高橋涼介くん」と目上な感じで呼ぶことから、年齢もそれなりに重ねているようだ。もちろん仕事もしっかりやっているのだろうが、若い頃からレース活動に励み、ドラテクにも才能が見られる。
初めて登場したのは、プロジェクトDの神奈川遠征が始まる前、4陣営のリーダーたちが、先鋒となるチーム246の大宮智史の練習走行を眺めるシーンだ。池田は3番目に登場するチームということで、この時はまだセリフの口調もルックスも、後と比較すると少しゆるめで、なんだか高校球児っぽいフレッシュさがある。
そして、神奈川2番手となるチームカタギリが敗北した後、箱根にある大観山駐車場にて、愛車の赤いフェアレディZ(Z33型)とともに再登場する。この時からほうれい線が目立ってくるのだが(笑)、このシーンもベストを着ていたり、両手の親指だけポケットに入れて立っていたりと、ちょっとヤングな雰囲気がある。
なお、この時は相棒である奥山と語りあい、1人で山を降ろうとした際に、“死神”と呼ばれる壊し屋のR32スカイラインGT-Rに追いかけ回されるという災難に遭っている。