その黄色が記憶に焼き付く! 『頭文字D』伝説モデルの進化列伝04 RX-7(FD3S型)前編

■GT-Rも打ち破ったテクニック重視チューン

 プロジェクトDのダブルエースということで、作品後半はハチロクと同等にバトルを重ねるFDだが、前半でもそれなりに露出が多い。この初登場シーンからすぐに(まだ乗員不明の)ハチロクと突然のバトルを繰り広げることになり、これが『頭文字D』としても初バトルになる。このバトルシーンも含めて確認できるのは、バケットシートを搭載していることと、アフターメーカー製であろう太めのマフラーを採用していること。シフトノブは交換されていない。

 この作品恒例のバトル前のスペック表示だが、作中ではこの後のハチロクとの正式なバトル時に記載されている。「スポーツマフラー/電気式ブーストコントローラー/シーケンシャルアダプター/スポーツコンピューター/設定ブースト 1.0kg/cm2/MAX出力 350ps(推定)」となっていて、この時点ではそれほどハードチューンはなされておらず、純粋に啓介のテクニックで速さを表現してきたのだろう。

 Vol.66「高橋啓介に死角なし!!」では、赤城山において、後輩であるケンタ(のS14シルビア)と練習走行をしているシーンが描かれているが、ここでリアスポイラーが若干低くなったことに気づく。従来同様、純正パーツではなく、翼端版が支柱となっているものの、後方へ傾斜し、高さは低くなっていて、よりRX-7ライクになった印象だ。また、同時にホイールも変更されていて、ディッシュタイプに5つ穴が空いているようなデザインになっている。

 この装いで、妙義ナイトキッズの中里毅のR32型スカイラインGT-Rとバトルすることになるのだが、バトル前のスペック表を見ると、「MAX340ps」となっており、前のハチロクとのバトルの時より10psほど下がっている。これは兄、涼介がハチロクとのバトル時にマックスパワーを下げてバランス重視のセッティングにしたことをうけて、あえてデチューンに踏み切ったものと思われる。結果、「4WD + 395ps(チューン済み)」のGT-Rを見事に打ち負かすのである。

■FDオーナーの読者が楽しめる細かな改良点

 次に装備が変わったのは、赤城山にランエボ専門チーム「エンペラー」が遠征に来ると決まった日の昼間のシーン。前日に拓海が須藤京一のランエボへ無謀なチャレンジをしてエンジン大破したため、啓介が拓海を励ましにバイト先のガソリンスタンドへ来訪した際に(まったくいいやつである)、FDのリップスポイラーが低くブ厚くなっているのがわかる。パーツ的には見分けがつきにくいものだが、明らかに純正品より主張が激しくなっている。

 前述のリアスポイラーやマックスパワーなど、このようにちょこちょこと装備を変えていくのも高橋啓介のFDの特徴であり、きっと高速域では違いが出る改良なのであろう。このあたりは読者で、特に実際にFDに乗っていたというオーナーだった人にとっては同作品を楽しめたポイントのひとつだったのではないだろうか。

 なお、この装備で臨んだ「エンペラー」戦、ランエボIVを駆る岩城清次とのヒルクライムバトルのシーンは一切作中で描かれておらず、「それまで見たこともないような聞いたこともないようなコースレコードで決着した!!」とナレーションのみ記載される。そして兄の涼介と須藤京一とのバトル決着後に、啓介も勝利していたことが語られる。なんともイカす演出である───(後編へ続く)。

■掲載巻と最新刊情報

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