■「世界観」を共有する物語
そんなしげの秀一先生の最新作が現在『ヤングマガジン』に連載中の『MFゴースト』だ。
2020年代の自動運転が普及した日本での、ガソリンエンジン車だけのレース「MFG」を舞台とした作品で、主人公のカナタと愛機トヨタ86の活躍を描いたもの。その共通点は、新旧のハチロクだけでなく、カナタは、あの『頭文字D』の主人公、藤原拓海の弟子という設定なのだ。
熱いカーバトルが題材の物語だというだけでなく、その世界観も共有しており、『頭文字D』ファンも楽しめる要素が随所に盛り込まれている。
また織戸選手は『MFゴースト』の舞台である箱根周辺は青春時代に走りまわった場所でもあるため、作品の節々のリアルな描写に驚かされ、だからこそ作品に引き込まれると、しげの作品の変わらぬ魅力についても触れた。
トークショーでは、作中でも、新型となるGR86が将来的に登場することも明かされ、ヤングマガジンのプロジェクトとしてリアル『MFゴースト』の86を再現してきた「86MFGコンセプト」の第4弾となる「2022年モデル」のプロジェクトが決定。
その開発には、織戸選手がプロジェクトアドバイザーとして携わるというから楽しみだ。
現在『頭文字D』25周年を記念して、従来の2巻分を1巻とした新装版が発売中。この機会に改めて読み直してみるのも楽しいだろう。『MFゴースト』も、最新刊となる11巻が発売されている。
■最新仕様の「86MFGコンセプト」にも注目
富士スピードウェイの、本ステージが設けられたメイン会場では、MFゴーストの世界観をリアルに描写した86のチューニングカー「86MFGコンセプト2021」を展示。
このモデルは、MFゴーストの主人公の愛機であるトヨタ86を作中の公道レース「MFG」のレギュレーションに合わせ、パーツメーカーなどの協力を得て、開発されたもの。同車は、3世代目となるモデルで、作中の86の仕様に合わせ、ターボ化されたことも大きな特徴となる。
メーカー各社の最新パーツに加え、exmotion のサスペンションキットなど、MFGコンセプト専用に開発されたものもあるほどの本格派なのだ。同車の制作を行ったGR garage宇都宮での実車展示は行われていたものの、大規模なイベントでの展示は、今回が初となるため、来場者からも大きな注目を集めていた。
最新モデルのポイントだが、2020年モデルからのアップデートは、BLITZ製のターボシステムの搭載だ。これにより最高出力は約260psまで向上。加速性能を高める最大トルクも約300Nmまで高められるなど、使い切れる86のイメージを大きく覆す、大幅なポテンシャルアップが特徴となる。またターボ化に合わせ、エンジンオイルもFUCHS TITAN GT1 FLEX 5を新採用した。外観上の特徴では、RAYSのボルクレーシングやSARD製リヤスポイラー「LSR WING」などの特徴的なアイテムを受け継ぎつつ、ボンネットのブラック化で、従来型との差別化が図られている。
86MFGコンセプトのユニークなところは、トヨタの「GR Garage」で同様のカスタマイズやパーツ単位でのカスタマイズを受け付けてくれるところ。だから、『MGゴースト』の主人公であるカナタの走りとリアルでリンクすることができるのだ。
トヨタ86でのMFGコンセプトの完成形となった2021年モデルだが、すでに今秋登場予定のGR86をベースとした「MFGコンセプト2022」のプロジェクトが始動している。
2代目となるGR86のプロジェクトアドバイザーの織戸学選手は、しげの秀一作品への熱心なファンのひとりでもある。すでに織戸選手の中ではチューニングメニューの構想も進んでいるようで、性能の高いパーツを組み込むことで、さらなるポテンシャルを図るとする。
しかし同時に、「高価すぎるパーツは使わず、誰にも真似でき、気持ちよく(そしてもちろん速く)走ることができるGR86を目指す」というから楽しみにしたい。
注目の2021年仕様のお披露目は、2022年の東京オートサロンを予定している。