レースも恋も! 大和魂でいつでも全開アタック!! 『MFゴースト』を彩る人物列伝01 相葉 瞬 編

■「カミカゼヤンキー」の目標はトップ5入り

 相葉が搭乗するマシンは、日産GT-R NISMO改。ゼッケンナンバーは[9]で、前年のランキングは9位である。「MFGの古参」と自ら偉そうに(笑)語っているが、参戦4年目となるこの年は、ランキングトップ5入りを目指している。「あなたとGT-Rはイギリスでも人気でした」と夏向から言われており、”神フィフティーン”(ランキングトップ15)に入る相場は海外でも高い人気を獲得しているようだ。

 当然のように、相葉の走りはいつも闘争心全開だ。ファンからは「カミカゼヤンキー」という愛称をつけられている。ただ攻め過ぎたがゆえのタイヤの消耗やブレーキングミスなどもよく見られ、「終盤に失速してしまうレースがある」(実況談)のがたまにキズ。

 MFGラウンド1の「小田原パイクスピーク」では痛恨のオーバーランを披露している。一発の速さに関しては高い評価を得ているが、時には強引すぎるツッコミが物議を醸すこともある。

 そのいっぽうで、走行後はスタッフに映像データを送ってもらい自宅で徹底的に見直して研究するという勉強熱心な側面も持っている。夏向の実力を認めた後のラウンド2「芦ノ湖GT」予選では、「カナタのスピードの秘密を……盗めるものなら盗みてぇ!!」と心の声を漏らすなど、いつだって速さを追求するマジメで貪欲な男なのだ。

 そんな相葉の走りのルーツは、『頭文字D』に登場した池田竜次にある(『頭文字D』人物列伝 池田竜次編 参照)。池田は現在、小田原市の市議会議員を務めながら、実家のお寺の住職を勤め、さらに「モータースポーツを通じて青少年の健全な育成を推進する」ゼロ・アカデミーを主宰している。

 池田の相葉評は、ドライビングセンスには光るものがあったが精神面に問題があり、「どちらかといえば劣等生だった」というもの。どうやら闘争心が強すぎてそれが裏目に出てしまうのは昔からだったようだ。

■後輩思いの優しくて愚直な男

 主人公・片桐夏向にとって相葉は兄貴分のような存在で、初対面のシーンから「これからはオレのことを先輩と呼べ。それがこの国の美しいしきたりだからな」と先輩風を吹かせまくった。

 ただ2人はいい関係で、相葉はその後、夏向(と読者)にMFGの慣例やコース、参加ドライバーについて解説してくれる。食事もしょっちゅうおごってくれて、「日本の食文化の底力みせてやるからな」と豪語するなど、食通のような一面も見せる。「シラスどん食ってみな。シンプルだけど衝撃的にうまいぜ……」と名言まで飛び出した。

 夏向が予選アタックをする際は、夏向のメカニックである緒方とともに、セコンドブースからアドバイスを出している。さらに夏向に対して「学校で教わったことなんて……社会に出たら役に立たねーことばっかなんだぞ」と人生の先輩らしい発言もあり、とにかく後輩の面倒見がいい。そしてそれは若い頃から変わっていないようで、「ゼロ・アカデミーのスタッフからも愛された」と主宰の池田から言われている。

「芦ノ湖GT」の決勝レース中には、前方を走るランボルギーニ ウラカンがコースアウトした姿を見た時に、「ケガなさそうでよかったな」とひと言。熱血漢でありながら、とにかく優しい男である。

 さらにレース後、後輩の夏向が自分より上位でフィニッシュしても、まるでレースなどなかったかのように打ち上げに誘うなどサバサバしていて、いわゆる男から人気があるタイプ。バトルが終わってしまえば、彼にとって夏向はライバルではなくかわいい後輩なのだ。

 相葉のことを昔から知る緒方からは「いい奴だけど女にはもてないからなー」と言われているが、作中では、MFGエンジェルズの栗原恭子から密かに慕われているような描写もある。理想の男性像を問われた恭子姐さんは、「底抜けに優しくて愚直な男が女を幸せにしてくれるんだよ」と答えている。

 第一話から「くそったれ、ポルシェだのフェラーリなんぞに負けねーぞォ!! 大和魂見せたろーぜ、GT-R!!」と心の中でつぶやき、読者の心を掴んだ相葉瞬。作中で夏向と直接バトルするシーンはまだ描かれていないが、「今までの人生で見たこともないような天才ドライバーとオレはバトルしてみたい……」と語っているだけに、いずれ見られるであろう主人公との真っ向勝負が、今から楽しみである。

■掲載巻と最新刊情報

【画像 ギャラリー】相葉瞬の愛車・GT-Rを写真で見る!(9枚)画像ギャラリー

シリーズ最新刊

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