プロジェクトDの外報部長が辿り着いた仕事とは? 『MFゴースト』を彩る人物列伝16 上有史浩 編

■涼介や拓海の存在を感じさせる役割

 『MFゴースト』本編では、今のところ(16巻まで刊行中)高橋涼介が姿を現していない。しかしその話声を聞けるシーンがあって、それは史浩がMFGのエグゼクティブオーガナイザーである涼介に電話をして片桐夏向のMFG参戦を伝える場面である。涼介は『頭文字D』時代から相変わらずそっけない態度で史浩をあしらっており、この2人の関係は今も変わってないのだと安心させられる。

 この涼介との会話シーンをはじめとして、史浩というキャラクターは、MFG運営の幹部でありながら、『頭文字D』と『MFゴースト』という2つの作品をつなぐ橋渡しのような役割をしていることが多い。たとえば、MFGラウンド1「小田原パイクスピーク」で夏向の予選通過が決まったシーンでは、「もってるなー片桐夏向。そーゆーところも…師匠ゆずりか…」と、夏向の師である藤原拓海のことを読者に思い起こさせている。

 さらに、同ラウンド1「小田原パイクスピーク」の決勝レースで夏向が果敢なドリフトを魅せたシーンでは、「正真正銘、藤原拓海のゼロカウンタードリフト…プロジェクトDが誇る無敗のダウンヒルエースが芦ノ湖に降臨した…」と、『頭文字D』ファンの心をわし掴むようなワードを使って、夏向のテクニックを絶賛している。

■MFGを理解し、すべての責任を背負う

 もちろんMFG運営の統括本部長であり、涼介を除けば最高責任者でさえあるため、当然のごとくMFGのことは表から裏まですべて把握していて、「まぼろしのコースレコード」は高橋啓介が叩き出したものだと知っている。そしてMFGラウンド2「芦ノ湖GT」でベッケンバウアーと沢渡光輝によって初めてその記録が破られた時には、「啓介の渾身のスーパーラップを…4年目にしてやっと超えてくるレベルにあがってきたか…」と、驚きのような、しかしどこかほっとしたような思いを発している。

 さらに、同ラウンド2「芦ノ湖GT」では、決勝レース中に芦ノ湖周辺に濃霧が発生。レースを中止するべきかどうか難しい判断を迫られる事になったが、この時は、「レースはこのまま続行する」、そして「不測の事態が発生した場合は、すべての責任はわたしにある…以上だ」とレースの続行を指示している。さらに、視界が悪いなら悪いなりに走ればいい、公道でレースするということはそういうことなのだと言い切っており、涼介に代わってMFGの基本理念を説く存在なのである。

 ちなみに、MFGを彩る女性アイドルユニット・MFGエンジェルスという存在は、どうやら史浩の肝いり企画のようである。さらにそのメンバーであるナンバー8こと沢村まりえを気に入っていたようで、レース中にそのことを実況の田中洋二から暴露されている。まりえは、スレンダーなモデル体型ばかりのエンジェルスメンバー内では珍しいぽっちゃり系なのだが、多くの日本人中年男性はふくよかな女子を好みがちである(筆者の独自調査による)。その点では史浩というキャラは中年男性の代弁者のようなものである(笑)。

■掲載巻と最新刊情報

【画像ギャラリー】上有史浩のかつての愛車・ユーノス ロードスターを写真で見る!(5枚)画像ギャラリー

シリーズ最新刊

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