同じクルマでもボディカラーが変われば印象も変わる。ボディカラーは個性を主張する重要なアイテムだ。日本人は無難なホワイト、シルバー系の人気が高いが、最近では個性的なボディカラーを設定するクルマも少なくない。
個性を主張するといえば昔からツートンカラーは定番だ。
現在ではルーフをボディと別の色に仕立てる手法が流行っているが、これまでにいろいろなタイプの個性的なツートンカラーが存在してきた。
本企画では個性的なツートンカラーのクルマを集めてみた。
文:永田恵一/写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、MITSUBISHI、DAIHASTU、SUZUKI、PEUGEOT、BUGATTI、SMART
ブガッティヴェイロンの衝撃
1990年代までツートンカラーはクルマの上部と下部を塗り分け、個性と高級感を際立てるという狙いのものがほとんどだった。
2000年代に入ると8L、W16クワッド(4つ!)ターボを搭載し、最高速400km/h以上のパフォーマンスを持ち、価格は1億5000万円超えのハイパーカーであるブガッティヴェイロンが450台という超少量生産ということもあり何種類かの塗り分けを持つツートンカラーも設定し、大きな衝撃を与えた。
日本車を代表するツートンカラー
昔の若者を熱狂させたツートンカラーといえば、2代目フェアレディZ(S130)に設定されたマンハッタンカラーと呼ばれたツートンカラーで、Tバールーフとの組み合わせは当時最強で憧れの対象だった。
もう1台は今でも熱狂的なファンが多く存在するAE86のツートンカラー。白黒のツートンはパンダカラーとも呼ばれ大人気。そのいっぽうで、赤黒ツートンも一定の人気を誇っていた。
発想が凄い無双ツートンカラー
見るものをアッと驚かせたのが現行308GTi(カタログモデル)のクープフランシュ/アルティメットレッドとクープフランシュ/ダークブルーである。208GTiには30周年記念モデルとして クープフランシュ/アルティメットレッド が設定されていて、サテンホワイトと合わせて50台限定で販売されていた。
クープフランシュというのは黒の意味で、ボディ後半が黒、ボディ前半は前者が赤、後者は青というもの。カラーサンプルかと思うほど塗り分けられる面積は大きく、「よくぞ設定したものだ!」というフランス車らしいアヴァンギャルドさ満点のツートンカラーである。
なお当時このツートンカラーのオプション価格は30万円で、手間やそう台数が出ないことも考えれば高くないともいえる。残念ながら208GTiは完売し、買えるのは308GTiのみだ。
数の多いクルマではないのでオーナーには末永く大切に乗ってほしいところだ。
かつてフォードフェスティバGT-Aという赤ボディに白顔のモデルもあったなぁ。
けっこう大胆なツートンカラー
クープフランシュほどではないにせよ、結構大胆なツートンカラーというのもある。
まずミラココア(現在はミラトコットがミラココアの役割を引き継いでいる)はベルトラインから上をホワイトやブラックとしたツートンカラーを設定し女性から支持を集めた。
最近ではフェアレディZの50周年記念車に注目だ。
フェアレディZの50周年記念車のツートンカラーは①ボンネットやバックドアも含めたボディ上部とドアに付く2本のラインがブラック、そのほかの部分がシルバー、②ボンネット、ピラー、バックドア、ドアに付く2本ラインがレッド、そのほかの部分がホワイトという2つが設定される。
昔のレーシングマシンのカラーリングをオマージュして現代風にアレンジという点でカッコいい悪いは別として意欲的な『作品』に仕上げられている。
個性的といえばジューク。スタイルの好みが大きくわかれる点はともかくとして、スタイルを楽しむ面もあるスペシャリティなSUVだけに、ツートンも強烈なインパクト。
ボンネットやルーフがグレー、そのほかの部分がオレンジ、ボンネットとルーフがシルバー、そのほかの部分がブルーとなるツートンカラーが設定される。
またジュークにはドアミラーやヘッドライト周り、インテリアのパネルなどをイエローやレッドなどのアクセントカラーにできるパーソナライゼーションと呼ばれる仕様も設定されており、こちらでも人とは違った雰囲気を楽しめる。
本項の最後は現行スマートフォーツーとフォーフォーだ。この2台はピラー、ルーフ、リアフェンダー、サイドシルとそれ以外の部分を塗り分けたツートンカラーをラインナップしており、未だに新鮮さを感じるスマートにはよくマッチしている。
またフォーツー、フォーフォーともにツートンカラーのオプション価格が税込3万5000円と非常に安いのも大きな魅力だ。
スズキの独創性が凄い
独創的なツートンカラーを時おり出すのがスズキである。
1台目は現在ハスラーに設定されるタフワイルドだ。
ハスラータフワイルドはAピラー、ルーフ、リヤクォーターパネルをブラックに塗るという今までなかったツートンカラーで、発売初期は特にツートンカラーをアピールしたハスラーらしい発展ともいえる。
「なんでここだけ違う色?」のボスキャラが現行のアルトの初期モデルに設定された、バックドアだけがグレーとなるツートンカラーである。
このツートンカラーはアヴァンギャルドな以前に街で見ると「このクルマ、バックドアを壊したからとりあえず未塗装のものを付けたのか?」と感じることが多い、ちょっと恥ずかしい想いをするものであった。
魅力的に映った人は少なかったようで、現在は残念ながらラインナップ落ちしてしまった。
初登場時は斬新だったが、今は見慣れた安定感
このジャンルに属するのが、一世を風靡しながら残念ながら日本向けは間もなく生産が終了するパジェロの3ウェイツートンだ。
2代目パジェロで登場した3ウェイツートンはサンドイッチ型という斬新発想でバリエーションもいくつかあり、パジェロの高級感を際立てていたのものだ。
3代目モデルでは設定されなかったが、現行型となる4代目で復活。現在は(在庫があればというのが正解なのだろうが)上下のシルバーが中間のグレーを挟むというものが残っており、懐かしさとパジェロらしさを感じさせる。
ツートンカラーの人気はどんなもの?
ルーフをボディカラーと違う色にする初代MINI発祥と思われる現代の定番ツートンカラーを採用する代表的なクルマ、トヨタC-HR、ホンダN-BOX、三菱eKクロス、ダイハツムーヴキャンバス、スズキハスラーの4車種について販売動向を探ってみた。





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このように日本車も複雑なツートンカラーが充実しつつある。ツートンカラーは生産に手間が掛かるのもあり、設定するのは大きな決断を必要とするだけに設定しているモデルには大きな拍手を送りたい。
現状ではツートンの販売比率は高くない。同時にせっかく設定したツートンカラーがカタログ落ちしないように、ユーザーも積極的に選び、お金はかかるにせよ「お値段以上に気分が明るくなる潤いのあるカーライフ」が送れるはずだ。