拓海と人気を二分!! 好対照なもう一人のエース!!! 『頭文字D』人物列伝21【高橋啓介 前編】


■成長も闘争心も見せつけて勝つということ

 兄でありチームリーダーでもある高橋涼介が立てた作戦は、前半のヒルクライムでタイヤに負担をかけずに温存し、ダウンヒルで勝負に出るというもの。そのため、バトルのキモとなったのは、タイヤに負担をかけずに最大限のスピードを引き出すアクセルワークと、渾身のダウンヒル。

■Vol.394「ゴッドフットはオレが倒す」を1話丸ごと読む!

 1本目はGT-Rが先行し、RX-7は追う展開。ここで啓介はタイヤマネージメント能力で飛躍的な成長をみせ、ダウンヒルではRX-7がGT-Rを追い詰めたが決着はつかなかった。

 2本目はRX-7が先行したが、パイロンターンの際に老獪かつ脅威的な技で追い抜かれてしまう。その後のダウンヒルでは、GT-Rが啓介の動きを牽制しようとドリフトを連発すると、啓介も「FR乗りの意地」でドリフトを敢行! 思考でなく闘争心。成熟したといっても啓介らしい一面を見せる。

 互いにテンションが上がりまくった両ドライバーだったが、やはりタイヤが終わったGT-Rはコーナーで踏ん張りきれない。RX-7はアウトから豪快にGT-Rを抜き去るのだった。

 勝因が高橋涼介のプロデュース能力の高さにあったのは間違いない。しかしこれは間違いなく啓介にとって、とてつもなく特別な要素が入っていたバトルであった。啓介が“何か”を感じ得たのと同時に、走った2人のみがそれを理解し、テクニックとプライドをさらけ出し、狂喜した。

 このバトルを見た拓海は、「おれはこわいですね…今日の啓介さんのバトルが……」と言っている。それはつまり、普段はヒルクライム担当である啓介のダウンヒル走行技術が飛躍的に成長していて、ダウンヒルを本気で攻めた時の底力を見せつけられることが恐ろしいのだという。

 作中、4WD車に挑む啓介の姿は何度も描かれており、啓介を経て、FRの魅力をさらに知った読者も多いという。結果として、啓介のFR愛は実際の峠シーンにまでさまざまな影響を及ぼしたが、それはRX-7に限らず、乗った人の世界観を変えたクルマの魅力、クルマへのこだわりは、時代が変化してもクルマ好きたちの胸の奥深くに刻み込まれている。

 高橋啓介は、そんなことを中年読者に思い出させてくれる名キャラクターでもある。

■1話丸ごと掲載/Vol.349「ゴッドフットはオレが倒す」

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