ラストまでカッコいい! 『頭文字D』伝説モデルの進化列伝03 RX-7(FC3S型)編

■こだわりを捨ててセッティングを変更する

 FCにとっては作中で初バトルとなった、拓海との一戦を前にして、エンジンと足まわりのセッティングを変えている。なんとそれまで340psを発揮していた涼介のFCはデチューン! 涼介曰く「MAXで260馬力前後ってとこかな……」とパワーダウンしている。

 というのも、従来は上りでも下りでもトータルに速いクルマを目指してセッティングしていたが、今回は下りでハチロクに勝つためにパワーではなくトータルバランスを取った形だ。ここに関しては涼介も「プライドをかなぐり捨ててでも負けるわけにはいかない」と発言しており、その走りを目の当たりにした弟の啓介も「コーナーの脱出速度は上がっている」と言った。

 そしてバトル当日、秋名山に姿を現したFCは、さらにルックスが変化していた。フロントバンパー下部のリップスポイラーがさらに低姿勢なものへ変更され、ナンバープレートもオフセット装着された。これによって空気流入量を増やして、エンジン冷却率をさらに高めようという狙いだろう。また、車体後方を見ると、マフラーも右出しから左出しへと変更されている。別のパーツメーカーのものが採用されたのだろう。

 バトル前に記されたスペック表を見ると、「エンジン内部はノーマル、スポーツコンピューター、EVCで設定ブースト0.9kg/cm2、追加インジェクターなし、ブローオフバルブ、ツインプレートクラッチ、80パイマフラー、MAX出力280ps(推定)、トータルキャンセラーはFCの常識」となっている。これを見て、愛車のセッティングを考えて人も多いのでは?

 また、このバトルでは走行中のインテリアが見えるが、純正から変更しているのは、バケットシートとステアリング(MOMOレーシング風)とシフトノブ程度か。拓海のハチロクのようにドリンクホルダーすら付けていないのは、涼介らしい潔癖さと言えるかもしれない。

■物語のクライマックスで最終進化形に!

 FCの2回目のバトルとして描かれたのは、「エンペラー」須藤京一のランエボIII戦である。真っ先に目につくのがホイール。RSワタナベ風デザインの8本スポークのものが採用されている。きっと4WDのランエボに対抗するための狙いが隠されているのだろう。結果、スペックの勝る相手に対して華麗なる勝利を収めている。

 その後、涼介がプロジェクトDのリーダーとしてドライバーから身をひいたために、しばらく作中にFCが登場することはなくなってしまう。しかし物語終盤、北条凛の駆るスカイラインGT-R(R32型)とのバトルを志したところで久々にその勇姿を現すと、ドアミラーを純正と思わしきスタンダードなタイプに戻している。

 そして運命のスカイラインGT-R戦、最後の姿は華麗にしてド迫力。まずヘッドライトが埋め込み式になり、カーボンボンネットを採用。ホイールはいかにも軽量そうな6本スポークのものになり、バンパーはさらに大型のエアインテークを備えたものへと変更され、ナンバープレートの取り付け位置も右側へと変わっている。マフラーも右出しへと戻された。

 なにより一番の変更点は、かなり大型のGTウイングが取り付けられたことで、これはバトルがターンパイクの下りになることを予想し、高速コーナーでのスタビリティ重視のために採用されたようだ。

 さらに、車内にはロールケージが取り付けられ、これだけでもラストバトルに挑んだ涼介の覚悟が伺える。かくしてブランクがありながらものぞんだ一戦で、FCはキズだらけになりながらも華々しくも壮絶なフィニッシュを迎えるのだった。

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