『頭文字D』伝説モデルの進化列伝05 RX-7(FD3S型)後編

■全身エアロパーツ装備で戦闘的なルックスに!

 パーツ換装後の姿を最初に見られるのは、Vol.365「新天地へ(後編)」。まずはなによりエアロパーツである。フロントはエアロバンパーに換装され、吊り下げ式フロントウイングのような形状に。サイドスポイラーも後方へ向かって大胆に持ち上がるデザインのものを装着し、リアウイングは大型のGTウイングを装着している。

 さらに、後方から見るとバンパー下には大型のディフューザーが採用されているほか、ドアミラーもエアロミラーを装着。ヘッドライトもリトラクタブル式だったものを埋め込み式に変更したことで、点灯時の空力の乱れを減らす仕様となった。なお、リトラクタブルライトの埋め込み式への変更は、軽量化にも寄与する、RX-7の定番チューンとなっている。

 これらエアロ系パーツの装着が奏功し、「オーバーステアでふめなかったコーナーでビシッと安定するようになった」と啓介自身が語っており、これまでとは比べ物にならないほどコントローラブルになったようだ。特に高速域ではその影響が色濃く出るに違いない。また、ホイールもかなり軽量だと予想される細身の6本スポークのものに換装されている。

 プロジェクトD渉外担当の上祐が「以前のクルマとはパワーの出方もかなり変わっている」と言い、啓介も「すごく馬力があるよ。中間の回転からしっかりとトルクがついてくるから乗りやすい」と発言しているように、当然エンジンにも手が入れられているようだが、その詳細は明らかにされていない。しかしボンネット上に空気排出のためのエアスクープが設けられていることから、それ相応の空気吸入を必要とする仕様になったと考えられる。

■バトル相手が見惚れるほど完璧なチューニング

 この状態で北関東エリアでの大一番、茨城県でのパープルシャドウ(日産R34型GT-R)戦に挑むことになるが、バトルシーンで詳細を確認すると、車内にロールバーが設置されたことや、マフラーがドルフィンテール(下向き)形状になっていることも判明する。安全を確保し、ボディ剛性を確保するロールバーを取り付けたことで、これ以降のバトルはレベルが違うということを証明しているようにも思える。

 そして、最終ステージとなる神奈川エリア遠征を迎えると、ついにFDの最後の進化が見られることになる。4段構えの死闘を次々と掻い潜り、ラストバトルとなったサイドワインダー戦、FDが対峙したのはホンダが誇るスーパーカー、NSXだ。ここで最強のライバルを前にして、FDは「トラクションがキモ」となる「新しいセットアップ」(どちらもFD担当メカニックの発言)を試している。

 エンジンや足まわりなどもそれなりにいじっているようだが、やはり一番目を引くのは、ボンネットをカーボンに変更したこと(色が変わっている)。目的は当然、軽量化のためだろう。カーボンは軽量で風圧を受けて持ち上がりやすいため、すこし前から装着されていたボンネットピンも役に立つことになった。

 ラストバトル中、NSXを駆る北条豪が、FDの走りを見ながら「それにしてもなんとまぁ…気持ちようさそうに走るクルマだ…!!」と気持ちを吐露するシーンがある。本来であれば、スタイリングが破綻してしまってもおかしくないのがチューニングカーである。

 特に啓介のFDは、物語のラストまでそれほど見た目が変わらなかった拓海のハチロク(スプリンタートレノAE86型)と対比的に、見るからに激しく改造されている。それでも、バトル相手が走る姿に見惚れるほど、啓介のFDのトータルチューニングの完成度が高かったということではなかろうか。

■掲載巻と最新刊情報

【画像 ギャラリー】名車の実車を写真で見る!RX-7(FD3S型)後編(5枚)画像ギャラリー

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