ついにフェラーリがクルママンガに降臨!! 『MFゴースト』名車列伝04 フェラーリ 488GTB 編


 伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ次世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、12巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数300万部を突破した。

 同作品に登場したクルマたちの世界観と魅力を読み解いていく本連載。第4回となる今回は、しげの作品にいよいよ登場することになったフェラーリ! V8ミッドシップモデルの秀作となった488GTBを取り上げたい。

文/安藤修也
マンガ/しげの秀一

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■モダンフェラーリの真髄として誕生

 「フェラーリ」は、世界最高峰のレースカテゴリであるF1において、世界選手権開始時から参戦し続けているたったひとつのレーシングコンストラクターであり、市販車の分野においてもスポーティモデルのみラインナップする唯一無二の存在である。

 21世紀の現代において、絶対的な地位にある超名門ブランドでありながら、そのクルマ造りは斬新さを備え、いつの時代も世界トップレベルの走行性能を誇ってきた。

 このブランドにおいて、“スモールフェラーリ”の系譜に連なるV8ミッドシップモデルは、モダンフェラーリの真髄でもある。時代ごとの最新鋭システムが取り入れられてきたという歴史もあるが、スタイリング面でも斬新かつモダンなコンポーネントが散見されてきた。それは、フェラーリが長い年月をかけてグランプリの現場で培ってきたものを活かしやすいマテリアルにもなっているということである。

フェラーリ 488GTB/全長4568×全幅1952×全高1213mm、エンジン:3.9L V型8気筒ターボ、最高出力:670ps、最大トルク:760Nm、最高速度:330km/h、0-100km/h加速:3.0秒

 『MFゴースト』に登場するのは、このV8ミッドシップモデルの歴史に連なる「488GTB」で、名車「458イタリア」の後継機として2015年に発表された。なお、「488」という数字は1気筒あたりの排気量にあたり、これはヒストリックフェラーリの命名法を復活させた形。「GTB」は「グランツーリスモ・ベルリネッタ」の略で、308や328、348などでも採用された名称だ。

 デザインを手がけたのは、それまでのV8ミッドシップモデルと同じ「ピニンファリーナ」ではなく、フェラーリ・デザインセンター。458イタリアのビッグマイナーチェンジとも揶揄された488GTBだが、そのボディワークは名車「308GTB」からインスパイアされたもので、エッジの効いたシャープなラインを活かしながらも、優美な雰囲気に仕立てられている。

 搭載されるエンジンも、それまでのV8ミッドフェラーリの流れを断ち切り、NAからターボへと変更された。そのため排気量は4.5Lから3.9Lへと下げられたが、NAエンジンでは味わえなかった圧倒的な加速力を手に入れている。

 また、回転数に合ったトルクをスムーズに伝える「バリアブル・トルク・マネージメント・システム」が採用されており、ターボエンジンと気付かせない、洗練された細やかなフィーリングをも手に入れた。さらに、ターボ化されたことで自然吸気ならではの甲高い“フェラーリサウンド”こそなくなったが、メカニカルで魅力的な低音を発する。

■扱いづらさと隣り合わせの戦闘力

  作中で初登場したのは、MFG第1戦小田原パイクスピークの予選4日目。カーナンバーは「2」である。そう、搭乗するドライバーの赤羽海人(あかばかいと)は、前年ランキング2位の実力派ドライバーなのである。

 ただこの男は、決勝レース中に「オレはフェラーリというブランドに特別な思い入れがあるわけじゃない」と豪語している。つまり、憧れや好意ではなく、マシンの能力を評価しているからこそフェラーリを選んだというわけである。至極、現代的な考えであり、正しいモダンフェラーリの評価とも言えよう。

 この予選で、赤羽&488GTBはいまいちのり切れていない。「おかしいぜ、馬力(パワー)がこない!!」とピットへ伝える赤羽。対するピットクルーは無線で、テレメタリーが送ってくるデータに異常はないという。この場面で、MFGを観戦するギャラリーの発言からは「フェラーリはコンディション調整が難しいクルマ」という印象が伝えられている。過去のMFGでも、「予選は早いが決勝レースになると終盤に失速」というパターンが多かったという。

 実際のところフェラーリというクルマは、昔から「ピーキーで扱いづらい」とされてきた。しかし、近代のフェラーリは、往々にしてコンピューターによる制御が入り、「安定しすぎてスピード感があまりない」知性の塊のようなクルマに仕上がっているともいわれている。2010年代中盤に登場した488GTBにおいては、官能性と洗練さを併せ持つ完全体のような存在に仕上がっていた。

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