あの高橋兄弟から継承した群馬プライド!『MFゴースト』名車列伝08 トヨタ スープラ 編


 伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ次世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、13巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数320万部を突破した。

 同作品に登場したクルマたちの世界観と魅力を読み解いていく本連載。第8回となる今回は、トヨタのフラッグシップスポーツ、新型スープラを紹介したい。『頭文字D』に登場したA80型とは違い、A90型(新型)は主役級の扱いで登場する。

文/安藤修也
マンガ/しげの秀一

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■衝撃だったトヨタとBMWの共同開発車

 もし20年前に戻って峠を走る若者たちに、「トヨタとBMWがタッグを組んでクルマを作った」と伝えることができたら、いったいどれだけ驚かれることだろう。さらに、その車種がスープラだと教えても、きっと信じてもらえないに違いない。それくらい驚愕の事象が現代に起きている。

トヨタ スープラ(RZ)/全長4380×全幅1865×全高1290mm、パワーユニット:3.0L 直列6気筒ターボエンジン、最高出力:285ps/5800rpm、最大トルク:500Nm/1800-5000rpm(2022年モデル)

 スープラといえば、1970年代のセリカXXに端を発するトヨタの代名詞とも言えるスポーツGT。北米でも販売されて人気を博し、そのマッシブなスタイリングと痛快な走りは日米で多くのファンを惹きつけてきた。そんなスープラも2002年に生産終了となり、トヨタは一時的にグローバルで販売するスポーツモデルを失っていた。

 そして2019年、満を持して17年ぶりに復活した5代目モデルは、前述のように、トヨタとBMWとの共同開発で生まれた。プラットフォームを新型BMW Z4と共用し、エンジンはBMW製造の直列6気筒ターボエンジンを搭載する(直列4気筒ターボもあり)。なお製品名としては、2021年に発売された「GR86」に先立って「GR」が付けられ、「GRスープラ」となっている。

 歴代スープラ同様「ロングノーズ・ショートデッキ」スタイルだが、そのデザインは、CALTY(キャルティ)と呼ばれるカリフォルニアのデザインスタジオで制作された。ボリューミーだったA80型スープラの正当進化でありながら、抑揚のある複雑なラインで構成され、筋肉質な雰囲気が強調されている。

 さらに、ホイールベースの短かさも特徴で、それは初代86と比較しても短く、歴代モデルで初めて2シーターになっている。オーバーハングが前後ともに長くなっているため、一見、大きなクルマだと思われがちだが、実はコンパクトな設計であり、この時点ですでにコーナリング時の運動性能の高さが推察される。

■搭乗するのはレジェンドの弟子?

 新型スープラはFRの駆動方式を持つ本格派スポーツモデルとして誕生。エンジンの最高出力340馬力(3.0L 直列6気筒ターボ)だ。世界のスーパースポーツが軒並み500馬力を超える現代においては、数値が物足りないと思う人がいるかもしれないが、実際のところ、公道で素人がその真価を発揮できるかといえば答えはノーだろう。

 なによりBMWの6気筒といえば、「シルキー・シックス」とも呼ばれる高回転まで回した時の気持ちよさを持ち合わせており、シャープなステアリングフィールと相まって、パワフルさと爽快感を両立した、実にスポーツカーらしい走りを味わわせてくれる。

 そんなトヨタのスポーツモデルのフラッグシップである新型スープラが、なぜMFGに初出走したのが第3戦「ザ・ペニンシュラ真鶴」からになったのかといえば、その理由はドライバーにある。

 新型スープラに乗って登場するのは諸星瀬名(ものぼしせな)という青年で、あの高橋啓介が育成した気鋭のドライバーである。バックボーンには、高橋兄弟から受け継いだ「群馬プライド」があり、2人の掲げる「公道最速理論」にも精通している。

 しかし、MFGを開催する際に、レース全体のレベルが成熟するまでは啓介が育てたドライバーはエントリーさせないと高橋涼介が決めていた。MFG第二戦の予選において、2人のドライバー(ベッケンバウアーと沢渡)が、高橋啓介がRX-7で記録したデモタイムを更新したため、ここで初めて瀬名の実戦デビューが許された形となった。

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