■アルファロメオとのフォーメーション作戦が炸裂
作中では第17話「ヤジキタ兄妹」において、MFGドライバー八潮翔(やしお かける)の愛車として、ファミレスの駐車場から発車する場面で初めてお目見えしている。カーナンバーは16ということで、前年度のMFGでは、ギリギリ”神フィフティーン(上位15位のポイントランカー)”入りを逃したようだ。
そもそも「リッチマンズレギュレーション」と呼ばれ、大排気量の高級スーパーカーが大手を振るっていたMFGにおいて、エキシージのような小排気量のライトウェイトスポーツカーで参戦すること自体、不利なはず。八潮翔もそれを承知のうえでの参戦なのだろうから、ロータスやエキシージに対して何かしら思い入れがあるのかもしれない(まだ作中では語られていない)。
そんななか開催されたラウンド1「小田原パイクスピーク」では、予選で12位を獲得。2ポジション後方の14位には妹の北原望(きたはら のぞみ)が駆るアルファロメオ 4Cがつけている。(事情があって苗字が異なる)この兄妹が操る2台のライトウェイトマシンは、その機動性を活かして協力しながら走ることを得意としており、決勝レースでは、早速その技が発揮された。
最初の餌食となったのは、予選15位と2台の間でスタートしたシビックタイプR。コーナーでエキシージが一度開けたコースを塞ぎ、シビックタイプRにブレーキを踏ませると、その瞬間を見逃さずアルファロメオ 4Cがねじ込む。高いハンドリング性能を駆使したブロックフォーメーションでシビックタイプRを翻弄した形だ。
その後、スルスルと後方から追い上げてきたトヨタ 86に、ガスと霧が漂う温泉街、通称「デスエリア」で追いつかれると、デスエリアの出口で2台続けてパッシングされてしまう。コーナリング中に効いたトラクションコントロールが、逆に八潮のドライビングを邪魔した格好だ。
しかし「カマボコストレート」と呼ばれるコース最長のストレートでは、3台がお互いのスリップストリームを利用し合う形で、ストレートスピードを伸ばす。小排気量の3台が弱点を克服するべく共闘する姿は見どころになっている。
■今後のライトウェイト対決に注目!
ラストラップ後半の下りでは、アルファロメオ4Cをいとも簡単に抜いてきた86を、エキシージが巧妙にブロック! しかし片桐夏向のスーパーテクニックの前には成すすべもなく、あっけなく追い抜かれてしまう。
この時に八潮翔が「ロータスといえば、曲がることにかけては他のどんなメーカーにもヒケはとらない……(中略)トヨタの86なんかに劣る点は……ひとっつもねえんだ!!」と叫んでいる。八潮の言い分を正しいとするなら、このパッシング劇はマシンではなくドライバーの腕の差が出たということになる。なお、最終的にエキシージは12位でレースを終えている。
この年のMFGが開幕した時点で、MT、つまり3ペダルのマシンは、エキシージと86のみ。よりスパルタンなクルマ造りがなされ、ロータス ヨーロッパの流れを汲むこのハンドリングマシンが、主人公とはいえトヨタ 86に負けてなるものか。そう思うのは、八潮翔だけじゃないはず。今後、エキシージに86を凌ぐ活躍を期待するロータスファンは数多く存在するに違いない。
■掲載巻と最新刊情報
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