【レビン トレノ タイプR ロードスター】 往年の1.6L“テンロク”スポーツの名車たち 13選

■No.011 マツダ 初代ロードスター(1989年登場)

ナルディ製のウッドステアリングやタンカラーのシートなどで、よりクラシカルな雰囲気に仕上げられたVスペシャルの内装

●どんなクルマ?

 1989年に登場した初代ロードスターは、当時下火となっていたライトウェイトスポーツ人気を復活させた。その影響は非常に大きく、国産メーカーだけでなく、海外のメーカーへも2シーターオープンカーブームを波及させた。

 全長約4mのコンパクトなボディに当時のスポーツカーのアイコンであるリトラクタブルヘッドライト、そしてFRの駆動方式を採用。軽量で俊敏な身のこなしは非常に素直で、ドライバーのスキルに応じて人馬一体の走りを体験することができた。

 前期モデルは最高出力120psを発生する1.6L直4エンジンを搭載。マイナーチェンジで最高出力が10psアップした1.8Lへ変更された。

●中古で探すと?

 国産車のヴィンテージイヤーである1989年に登場したクルマのなかで、最も流通台数が多いのが初代ロードスターだ。価格帯は約15万~約320万円と非常に幅が広い。

 グレードでは1.6L、1.8Lともに標準グレードが最も多く、グリーンのボディカラーを採用した1.6LのVスペシャルが続く。

ナルディ製のウッドステアリングやタンカラーのシートなどで、よりクラシカルな雰囲気に仕上げられたVスペシャルの内装
ナルディ製のウッドステアリングやタンカラーのシートなどで、よりクラシカルな雰囲気に仕上げられたVスペシャルの内装

■No.012 マツダ 6代目ファミリアGT(1985年登場)

ターボの4WDモデルは、スウェディッシュラリーの優勝から「雪の女王」と呼ばれることも
ターボの4WDモデルは、スウェディッシュラリーの優勝から「雪の女王」と呼ばれることも

●どんなクルマ?

 1985年1月に登場した6代目ファミリアは、同年10月に当時テンロククラス最強の最高出力140psを発生する1.6L直4ターボエンジンを搭載するGTを追加。

 また当時日本初となるフルタイム4WD車を設定するとWRCに参戦し、スウェーデンラリーで見事に優勝を飾った。

●中古で探すと?

 今回調べたところ、ファミリア5ドアハッチバックの中古車はわずか9台しか流通していないが、そのうちの1台が6代目ファミリアGTだった。価格は約59.8万円。走行距離は10万km超だが、タイミングベルトは交換済みだった。

■No.013 いすゞ 3代目ジェミニイルムシャーR(1990年登場)

「街の遊撃手」として人気を博した先代に比べ3代目は不人気。でもイルムシャーRはパワフル
「街の遊撃手」として人気を博した先代に比べ3代目は不人気。でもイルムシャーRはパワフル

●どんなクルマ?

 1990年に登場した3代目ジェミニにも、先代に続きロータスやイルムシャーといった欧州のチューナーが手を加えたモデルが設定された。なかでもイルムシャーの手によるイルムシャーRはクラストップの最高出力180psを発生する1.6L直4ターボ+フルタイム4WDという硬派なモデルだった。

●中古で探すと?

 1970年代に発売された初代ジェミニのスポーツモデルZZ-Rはまだ見つけられる。しかし3代目ジェミニの中古車はあまり流通しておらず、今回の調査で1台だけ見つけたイルムシャーRには66万円の値付けがされていた。

*   *   *

 かつてはこれほどまでに魅力的なモデルが多数存在した「テンロク」エンジン搭載車。では、現行国産モデルにテンロクエンジン搭載車はあるか。

 見つかったのはノートNISMO S、ジュークのターボ系、インプレッサ、レヴォーグ、SX4 Sクロスのわずか5台。正直、サミシイ。

 しかもノートNISMO、ジューク、レヴォーグなどは多少スポーツを感じるが、SX4 Sクロスをして、スポーティという人はなかなかいないだろう。正直、サミシイ。

 というわけで現在、国産テンロクスポーツは風前の灯状態なのだが、希望はある。それは先の東京オートサロンでワールドプレミアされたGRヤリスだ。272ps/37.7kgm発生の1.6L直3ターボを積むGRヤリスは、本企画で紹介したどのモデルにも劣らぬほどの強力な魅力を備えている。

 願わくば他メーカーからも同じように気合の入ったテンロクスポーツが出るといいなぁ。


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