拓海を育てた文太から最強のライバルまで!! 『頭文字D』人物列伝27【神回5選】

■目立たない檄シブキャラだが……

 峠の走り屋たちの実情を、あくまでマンガライクに、しかしある意味リアルに表現し、クルマに興味のない人たちが知らなかったことを披露したのも、『頭文字D』成功の要因と言えるだろうか。栃木県在住の若者、末次トオルは、この“実情”の部分を端的に表したキャラクターである。

 同じくクルマを愛する者として、彼のクルマ愛は非常に胸打つものがある。しかし、資金難であることや(結婚を考えている)彼女との恋模様など……若者は葛藤し続けながら愛車を所有し、峠バトルを続ける。かつて読者であった多くの中年たちが若い頃に経験したであろう体験、そして哀愁ややるせなさを感じさせてくれる末次トオルのエピソードは、クルマ好きのおっさんなら必読である。

【続きはこちら】等身大の走り屋魂が胸を打つ!!『頭文字D』人物列伝09【末次トオル 編】

■緊張度&テンションが高いバトル!

 一回のバトルが長きに渡って描かれたことも、『頭文字D』が世間を驚かせたことのひとつだ。

 主人公が剣術や魔法などを使って悪魔や人外のものと戦う冒険マンガや、人対人の試合や戦いが描かれるスポーツ、格闘技マンガなどであれば普通のことだが、同作品はクルマとクルマによる速さ比べである。

 そもそも長くすること自体が難しいと思われるのだが、『頭文字D』では、バトルがどれだけ長かろうと一度読み始めたらフィニッシュまでしっかり読み入ってしまうのだから、これもしげの先生が使う“マンガの魔法”の仕業に違いない。

 作中では一度しかない北条凛のバトルも、なんと約240ページに渡って描かれている。しかもバトル中、一度も先行車と後追い車とのポジションが入れ変わらないにも関わらず、最後まで決して目が離せないのだ。

 北条凛という人物の業の深さ、キャラの濃さもあるが、この高橋涼介との因縁のバトルは、亡くなった恋人との愛、さらに兄弟愛を挿入させることで、「生きるとは何か」「幸せとは何か」といった部分まで見事に描き切っているのだから、本当に恐れ入る。

【続きはこちら】圧巻のバトルで描かれたGT-Rを駆る“死神”『頭文字D』人物列伝14【北条凛 編】

■“愛”が強すぎたヒロイン

 クルママンガの教科書のような作品となった『頭文字D』だが、恋愛エピソードにおいても非常に充実している。作品前半で拓海を魅了した茂木なつきは、その自由奔放な行動のせいで、読者からの評価も賛否別れる部分はあるが、彼女もまた当時の世相を取り入れたリアルなキャラクターとなっている。

 峠を走る男の理想の彼女といえば、ルックスがチャーミングであることはさておき、(異論はあるだろうが)自分の好きなクルマのことを理解してくれて、助手席にちょこんと座って夜の峠までついて来てくれる女性だろう。なつきはまさにルックスも含めて「ベスト・オブ・峠彼女」なのだが、優れた容姿のため(?)拓海以外の男からも引く手数多で、嵐(トラブル)を呼ぶ女でもある。

 結果として、さまざまな苦難にも負けず純愛を貫いたが、若い2人は別れることになる。果たして、彼女の拓海への愛の深さはどれほどのものだったのだろうか……。

【続きはこちら】出会いと別れ…拓海との恋模様が蘇る!! 『頭文字D』人物列伝19【茂木なつき 後編】

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